2013年8月3日土曜日

数の世界の広がり(虚数・複素数)

数の世界で、平方根の中が負の数になる場合があります。

具体的には、
二次方程式
a x ^ 2 + b x + c = 0

の根の公式
x = {-b pm sqrt{b^2 - 4ac}}/{2a}
の根号の中が負の数
b^2 - 4ac < 0
となる場合です。

でも、根号の中が負の数というのは、
二次方程式の左辺の二次関数がx軸と交わらない時だから
解無しとして実用上は十分で、
これ以上計算する必要はありません。
そのはずでしたが、、、。

平方根の中が負の数になる場合が必要な理由は、
二次方程式より三次方程式にあります。

三次方程式の解法では、
途中で二次方程式を解き、
その解の値を元にした三乗根を求めて最終的な解を得ます。
途中の二次方程式の解の公式の根号の中が負の数になってしまうことが時々起きます。
だから、根号の中が負の数という状態を認めないと、
計算できないことになります。

もちろんその他にも色々な理由(今は思いつきませんが)があって、
虚数・複素数が便利で必要な数であるとなったことは間違いありません。

私たちは、結構無頓着に
sqrt{-1} = i

と、定義していますが、もう少し厳密に考えましょう。

根号の中が正の数(例えば2)のとき、sqrt{2}は二乗すると2になる正の数を意味します。
一方で二乗すると2になる負の数を- sqrt{2}と表記します。

根号の中がゼロの時、sqrt{0} は二乗すると0になる数でこれは0だけです。

厳密に言っていきます。

虚数単位 i は、二乗すると -1 になる数です。が、sqrt{2}の場合との類推から、二乗すると -1 になる数は二個あっておかしくない、むしろ積極的に二個あることになります。しかし、その数は、実数ではないので、正の数と負の数という分類をすることができません。とりあえず、二つある方の片方を i と定義したとき、残りの片方を -i と定義します。 -i は負の数ではなく、負の虚数単位です。で i は、正の虚数単位です。

実際に、二乗すると -1 になる数は、i と -i であるとすると、全てが調和します。

しかし、最初に i とした方を -i として、 -i と した方を i としても、まったく問題がありません。もともと区別がついていない同質ものを区別したことで、複素数空間全体に見通しがついたのです。

しつこいですが、二乗すると -1 になる数が二個ある、どちらをどのように名前をつけるか(i と -i)は、まだ決まっていない。片方を、i と定義したら、片方は -i と定義付けることにする。

i と -i は、本質的には区別できない同質のもので、0を挟んで鏡像の位置にある。たまたま片方を i とすれば別の片方は-iになる。

数学の勉強で、共役複素数がよく出てきますが、その意味や考え方の大本は、i と -i の定義の仕方に由来していると、私の場合40年以上掛かってようやく理解できました頭悪いなあと思います。

i + (-i) = 0, ~ i * -i = 1
(a + ib) + (a - ib) = 2a, ~ (a + ib)(a - ib) = a ^ 2 - (ib) ^ 2 = a ^ 2 + b ^ 2

複素数の世界は、複素平面で表されますが、実数軸を境に上下対象の世界が良く出てきます。

これは、「三次元では右回転と左回転は同じ」にも通じるのかもしれません。

このように虚数単位 i を導入することで、複素数が定義され、複素数は a + i b と表現されたり

r(cos theta + i sin theta)
と表現されたりします。

複素数は、二つの実数の組みで一つの数を表すことになりますが、その加減乗除の演算で二つの実数と虚数単位が巧妙に絡み合います。

そして、正の数、負の数という符号に対する乗算を複素平面の回転に置き換えることになります。

つまり、乗算を回転角度の加減算に置き換えるのです。

さらに、回転というものにより、乗除算と加減算の関係を明らかにし、べき乗での指数における乗除算と加減算の関係を結びつけて、角度に関する cos sin の三角関数とべき乗に関する指数関数に深い関係があり、
e ^ {i x} = cos x + i sin x
が導かれます。
この式から、数学で最も美しい式とされるオイラーの等式(Euler's identity)
e ^ {i pi} + 1 = 0
に到達します。

乗算を回転角度の加減算に置き換えることにより、二乗は二倍回転、三乗は三倍回転、n乗はn倍回転、平方根は、半回転となり、三乗根は、1/3回転、n乗根は、1/n回転となります。

つまり、べき乗と開平計算は回転角の等倍と等分割に対応するため、n次方程式の解法計算では、複素数の世界を超えることはありません。このことが、代数学の基本定理「複素係数のn次方程式の根は、n個ある」ことを暗示します。

-1 の平方根が二個あると説明しましたが、複素平面という二次元の世界では、二個ありますということです、三次元やさらに高次元で考えるとどうなるのでしょう。複素数は二元数と言えるので、三元数を考え、-1の平方根が、iと-iを通る複素平面に直行する単位円になるという定義ではどうか、、、。このような三元数は、加減乗除の演算を定義できればいいのですが、どうもできないようです、つまり三元数は存在しないことになるようです。

聞いた話ですが、理論上は、四元数が発見されており、四元数の世界では、-1 の平方根は、無数にあり、四元数空間での単位球上のすべての点が、-1の平方根となるそうです。残念ながら、四元数が方程式を解く流れの中から発見されたものではなく、もっと人工的で恣意的な探索で見つかったものです。が、四元数の研究が進むに連れて、深い理論の世界で四元数の体系が有効になる時が多々あることがわかってきているようです。

四元数の先には八元数があるそうです。どうも無制限にあるようですね。


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